2007年1月24日水曜日

良品廉価の山崎製パン

不二家問題が連日報道されている。長年、市民に愛されてきたペコチャンも泣いているだろう。

「九仞の功を一簣に虧く(きゅうじんのこうをいっきにかく)」とはこのことで、長年積み重ねてきた信用も、一度の失敗で元の木阿弥である。これは私にとって決して他人事ではない。組織の長として自戒しなければならない。

かつて、世界最大のパン会社で、和菓子や洋菓子など、日常生活に欠かせない食品を製造している山崎製パン株式会社の役員を勤めたことがある。

ある年、クリスマスケーキに必需品のイチゴが急騰した。なんと1個、100円になったのである。私の記憶では、当時40万個の販売予定で大きな赤字が予測されたが、創業者の飯島藤十郎氏の創業理念である「良品廉価」に変更なしと、子息の延浩社長の判断に揺るぎはなかった。

不二家は、イチゴの高騰に悲鳴をあげ、替わりに栗を2個入れた。素人の私は役員会で「イチゴより栗の方が高いのでは」と、トンチンカンな質問で失笑を誘った。

<イチゴ2個で200円>-<栗2個で20円>=180円。

クリスマスケーキ1個あたり180円の節約となるわけである。クリスマス商戦の結果を聞いて驚いた。40万個の山崎が完売で、20万個の不二家に売れ残りが出たという。

消費者はなんて利口なんだろう。イチゴの間に栗が入ったほうが見かけが良いし、内容も優れていると思ったのは私だけであった。

当時、飛ぶ鳥を落とす勢いのスーパー「ダイエー」の中内功社長(当時)が訪ねてきて「山崎パンの商品を店頭に並べたいので紹介の労をとれ」とのことだった。理由を聞くと、「私は日本各地の店を歩いて、商品の値段と品質をチェックしている。

特に牛肉とパンにはことのほか関心がある。小麦粉の値段が上がろうが小豆の値段が上がろうが、山崎パンだけは品質も目方も全く変わらない。

他社のパンは目方が軽くなったり、アンパンのアンが少なくなっている。山崎パンの『良品廉価』に間違いない。日本一品質に厳しい私が惚れたのです。紹介してください。」とのことだった。山崎製パンは、バブルの時も一切浮利を求めず、今も愚直なほど『良品廉価』にこだわる会社である。

0 件のコメント: